2018年ブレイク必至! 弱冠24歳の若者が造る新しい新潟の酒!
いま、日本酒好きのあいだで話題の酒蔵、加茂錦酒造の「荷札酒」
「扱うけれど、このままの
お酒じゃダメだぞ」。
「ある酒販店の社長にそういわれたときは、エッ、と思いました」。
田中悠一さんは回想する。まさか、置いてもらえるとは思っていなかったからだ。平成26年に仕込んだ酒の中か1本だけ、“仲取りの一番良いもの”を、保冷剤を詰めたクーラーボックスに入れて、大手の有名地酒専門店を訪ねたときのことだ。人生初めての営業経験だった。
「いい状態で試飲してもらうには、それしか方法がなかったんです。無駄になると思ったのでラベルは用意せず、手持ちの荷札ラベルで応急に対応しました」。
電話でアポを入れると、担当者が会ってくれた。しかも、後日、海外出張から帰国した社長に会わせてくれたという。
「そのお店では、毎日全国の蔵元からものすごい数の酒が届き、それをテーブルにズラ〜ッと並べて、1本1本、社長が唎酒するんです」。
実は、加茂錦を受け継ぐことになった父親は、下戸だった。酒造りに迷って、このお店でコツコツとお酒を買い込み、次から次へと飲んでみたという。
だが、客として酒を買うことと、蔵として酒を置いてもらうことは、天地の隔たりがある。
「最初は、おそらく置いて頂けないだろうな、と思っていました」。
と社長。ところが息子から電話がかかって来て、「置いてもらえることになったって(笑)」。次の新規営業では、町田・多摩・中野を1日で回った。
「中野の後、熱が出たので東京に泊まると息子が言うのです。8月の暑い日でしたので熱中症らしいと後でわかったのですが、3軒ともスゴイ酒屋さんじゃないですか。それぞれ3時間も話を聞いてもらって、連続3社。本人、力尽きてしまったようです」。